刺青(タトゥー)治療 ④

④ 植皮術
切除困難なサイズの大きなタトゥーの除去やお急ぎの方は、植皮術が適応となります。
*植皮術とは主にヤケドの治療に用いられる手技で、皮膚を欠損してしまった部位に対して他の健康な部位から皮膚を移植する治療方法のことです。
タトゥー除去の手術においても、切除した部分の皮膚欠損に対して、同じように植皮術を用います。
植皮術には様々な種類があり、どの植皮法を選択するかは除去するタトゥーの部位とサイズによります。
切除術と組み合わせることによって、最短の時間で術後の生活への影響も最低限にタトゥーを除去できます。
当院では、短期間で除去が可能となるのは、豊富な切除術、植皮術の経験があるからです。広範囲を除去希望の方やお急ぎの方に適しています。
全層植皮術
皮膚欠損部に対して、他の部位から皮膚全層を移植し、皮膚を採取した部位は縫い合わせてしまう方法です。手のひらなど機能的に縫合できない部位や顔面のように縫合すると整容的に問題が生じる部位の皮膚移植に用いられます。採取した部位の皮膚も全欠損となってしまいますので、縫合可能な小範囲の皮膚移植に限られます。
分層植皮術
タトゥー除去における植皮のほとんどに用いられるのがこの分層植皮術です。皮膚を浅くそぎ取るように採取し、皮膚欠損部へ移植します。採取した部分の皮膚は、擦り傷が治るように徐々に治癒していきます。分層植皮術はさらに3つの方法に分類されます。
①シート植皮術
移植皮膚をそのままシート状で貼りつける植皮方法です。分層植皮術の中で最も美しい仕上がりとなりますが、非常に弱く、一部がダメになると移植皮膚全体が生着しないことが多いため、術後にしっかりとした安静が必要です。
②パッチ植皮術
植皮皮膚をやや小さく刻んでしま状に植皮していく方法です。それぞれが小さなシート植皮術となり、1~2個の移植皮膚が生着しなくとも、小さな皮膚欠損で済むため、全体がダメになることはありません。ダメになった部分は、大きさによって、そのまま周囲の皮膚が再生するのを待つこともありますし、再度植皮術を行う場合もあります。
③メッシュ植皮術
移植皮膚を特殊な機械にかけ、メッシュ状に加工します。メッシュ状の移植皮膚は自在に伸び縮みするため、広範囲の植皮に適しています。欠点は移植部位にしばらくメッシュ状の痕が残ることですが、時間とともに軽減していきます。
 
植皮術によるタトゥー除去のリスクについて
移植皮膚の壊死
特にシート植皮術など「ずれ」に弱い植皮の場合。皮膚が生着せずに壊死してしまうことがあります。一度ダメになった移植皮膚は諦めるしかありません。再手術が必要です。
血腫
シート植皮術の場合、移植皮膚の下に血が溜まることがありますが、血腫ができてしまうと移植皮膚は生着しません。血腫を除去した上で再手術となります。
感染症
術中には抗生剤の点滴を行います。また、術後にも抗生剤の内服をしますが、まれに皮膚移植部にバイ菌が繁殖して膿んでしまうことがあります。洗浄、抗生剤などの感染症治療を行います。
術後の出血
多少の出血は必ずあります。特にメッシュ植皮術の場合には浸出液に血液が混ざってガーゼは真っ赤になりますが問題ありません。
疼痛
タトゥーのあった移植部位より皮膚採取部位がヒリヒリ痛みます。飲み薬・坐薬の鎮痛剤を処方します。眠れないような痛みではありません。
 
植皮術によるタトゥー除去の流れについて
 



  • 1. 切除を併用するかどうか検討します。皮膚移植の範囲を最低限に抑えるデザインを決定します。



  • 2. 移植皮膚を採取する部位と必要な範囲を決定します。メッシュ植皮術であれば、タトゥー範囲よりかなり小さめの採取で植皮可能です。



  • 3. タトゥーを削っていきます。この時に皮膚移植せずとも皮膚が再生可能な浅さであれば、剥削と術中レーザーに変更になることもあります。



  • 4. 特殊な器具で移植皮膚を採取します。シート植皮術ではそのまま使用しますが、メッシュ植皮術では採取した皮膚専用の器具でメッシュ状に加工して大きくします。



  • 5. タトゥーを削った部位に移植皮膚を縫いつけます。場合によってはずれないようにガーゼを直接縫い付けて固定することもあります。



  • 6. 採取部位と移植部位に軟膏を塗布し、それぞれガーゼで覆い手術終了です。



 
*術後の通院は1週間、2週間、3週間と毎週来院していただけると術後のケアもしっかりさせていただきますので、できる限りご来院くださるようお願い致します。